07月27日 産経新聞

7月27日の産経新聞で西村利也氏が 

『使い切りタイプも登場 「低価格デジカメ」静かなブーム』

という題の記事を書かれています。

「日本ポラロイドが4月に発売した「i535BB」は実勢価格が9800円前後。大手家電量販店のビックカメラとベスト電器と共同で「1万円以下」をコンセプトに開発した。手ぶれ補正機能もなく、撮影環境に応じた細かな設定もできないが、画素数は500万で光学3倍ズームを搭載し、L判の写真印刷ができる水準を確保した。(以下略)」というものです。

デジカメは製造物ですし、デジカメを生産すること自体はサービス活動ではないかもしれませんが、機能を限定し、その代りに低価格の製品を供給するというアイデアはまさしくサービスと言えます。このような製品を供給することによって、従来はデジカメと無縁だった消費者もデジカメを楽しむことができるわけです。また、そのことによって、従来とは異なったデジカメの楽しみ方が見出されるかもしれません。携帯電話にカメラとしての機能が加わることによって、携帯電話の利用の仕方が大きく変わり、若い人たちの行動にも大きな影響を与えたと思います。街で何かあると、携帯電話でメモ代わりに写真を撮る姿をよく見ますが、これは昔には無かったことです。昔日常的にコンパクト・カメラを持ち歩く人はよほどのカメラ好きだったでしょう。このように、製品の機能と価格によって、我々の普段の行動が変わってくるわけです。そこがまさに「サービス創造」の世界と言えます。

製品開発するときに、機能をどうするか、価格設定をどうするか、その背景としてどのような市場を考えるか等々はビジネスを考える上で基本ですし、製造業の世界も、工夫・アイデアといった観点から見ればサービス活動となりえます。こうした企業の活動を実際に知り、しかもそれを専門知識から分析し、ビジネスの社会に対する実践的な知識を学ぶことが、サービス創造学部の特徴になります。この記事はその良い具体例になりえます。大学1年生がテーマ研究で取り上げても内容ある議論ができるでしょうし、大学4年生がこの記事を出発点として卒業論文に取り組むこともできる、背景のある記事です。

岡崎哲郎(経済学)