ソーシャル・キャピタル

経済学担当の岡崎です。

 

「ソーシャル・キャピタル」を題とした書籍が、私の知る限りでもこの数ヶ月で2冊出版されました。ソーシャル・キャピタルは社会的関係資本などとも訳され、今では政治学を中心に社会を分析する重要概念の一つになっています。有名な例として、政治学者パットナムがイタリア州政府のパフォーマンスの違いを説明する際に用い、市民的な伝統を通じて構築されたネットワークなどが機能している地域ほど民主主義が機能していると結論付けました。個人間のネットワークや信頼関係は直接観察することは難しいのですが、民主主義の機能に限らず社会の様々な側面で重要な意味を持ってくるでしょう。このような視点に対する認識の広まりが書籍出版の背景にあるのかもしれません。実は私が専門とするゲーム理論の世界でも、個人間のネットワークや信頼関係などは分析されています。

 

経済活動でもソーシャル・キャピタルの持つ意味は重要だと思いますし、そうであればサービス創造の世界でも同様でしょう。普段我々が同じ社会に住む人たちとどのような関係を構築しているかによって、その社会でのサービス創造の可能性が大きく変わってくると思います。各人が他人を信頼しない社会でサービス創造することは困難を極めるでしょう。内戦を経験した地域はその極端な例だと思います。

 

街づくりも同様ではと個人的には考えています。新潟県が公式サポーター企業となると知り、サービス創造の視点から地方自治や街づくりに取り組むことになると考えたときに思いついた一つの視点です。本ブログの「第1回ユニバーシティ・アワー」紹介で出てきたように、千葉商科大学の所在地である市川市でもネットワークづくりの重要性は高いでしょう。

 

サービス創造の発想からの組織としては千葉商科大学サービス創造学部が日本唯一の存在ですから、地方自治や街づくりの問題に対しても他の大学や研究所では見られない独自のアプローチが見られると思います。そこでサービス創造学部第1期生の人たちのアイデアも盛り込めたらと思います。