学部長の吉田優治です。
2週連続して横浜阪東橋駅近くの三吉演芸場で生まれて初めて大衆演劇を観ました。1部が演劇、2部が歌謡演舞ショー。結構、ハマってしまいました。観客と舞台の距離が近く、迫力ある演技を肌で感じます。座長が一族を引き連れご当地で公演する昔ながらのスタイルに、忘れかけていた家族の絆を感じさせてくれます。弁当も飲み物も持ち込みOK。写真だってとりたい放題。何よりいいのは、若い役者たちの芸がしっかりしていること。座長の父親に幼いころから仕込まれた歌や踊りの芸は確かです。
サービス創造学部の学部長として大衆演劇に魅せられたのは、若い役者たちの確かな演技、ひたむきな努力、旺盛なサービス精神。
先週の「南條一座」は、若座長「龍美麗」の気迫、繊細さ、美しさ、目の動き、ユーモアが絶品。23歳にしてオーラが出まくり。客席を縦横無尽に飛びまわる姿は圧倒的な迫力です。弟の「南條景虎」も負けず劣らずの役者です。当日の出し物は、大岡越前ストーリー。流罪を大岡に言い渡された罪人ガルシアが脱獄し大岡を殺害に来るというもの。ガルシアの境遇に心を痛めた大岡人情物語。わかりやすさの中にも、現代を批判する視点をしっかり織り込んでいました。
昨日の「劇団花車」は、姫京之助と息子3人が中心の北九州からの一座。若座長「姫錦之助」の演じる番場の忠太郎「瞼の母」のお芝居は、生き別れた母親を探す忠太郎に観客全員すすり泣き。渾身の演技。16歳の3男が演じる女形の目の動き、妖艶です。最後の太鼓ショーも圧巻。
「本当に来場いただきありがとうございます」という気持ちが全身で表現されているんです。「高いところからではございますが」と言いながら舞台に正座して、観客と目線を合わせる努力に心打たれます。客席をまわって全員と握手をします。握手をした手に役者の残り香。計算しつくされています。
いつからかお芝居も歌謡も、芸術として見せるビジネスが登場してきた状況があるけれど、下町のお客さんを相手にする大衆演劇はサービス精神満点、おもてなしの心MAXのサービス創造活動です。毎日演目が違うんです。昼の部、夜の部の演目さえ違うんです。毎日、そして昼も夜もご来場くださいというシステム。
これで入場料2200円。出口には座長はじめ役者たちが勢ぞろい。一人一人に声をかけ、目を見て気持ちのこもった握手をしてお客様を送り出します。サービス創造を研究する私は完全にノックアウト状態で三吉演芸場を後にします。
こんなサービス受けたことありません。大衆演劇から学べます。