クラウドベースのスマートフォンアプリ開発環境

 千葉商科大学サービス創造学部の情報科目担当の神保雅人です。今回はゼミに関連したお話しを紹介いたします。

 諸事情があって,今年度は学年毎にテーマが異なります。4年生は『Androidアプリの開発』で,学生達はeclipseという統合開発環境上にインストールされたAndroid SDK (ソフトウェア開発キット)を用いて,昨年度作成したタロットアプリの改良に取り組んでいます。2年生は『Web情報学』で,今学期は学生達が興味を持ったWebページにどの様な工夫があるのかを調べて発表してもらうという段階です。

 そして,3年生は『アプリケーションソフトウェアの開発』と幅を広げて,PC向けかスマートフォン向けか,開発言語に何を選択するかといったことは学生たちの考えに任せました。その結果,所属するプロジェクトで利用する,実用的なPC向けアプリケーションソフトウェアの開発に取り組む学生と,iPhone向けゲームアプリを作りたいという学生達とに2極化しました。

 後者のiPhone向けアプリを直接作成しようとすると,アップル社のMacというコンピュータが必要になりますが,大学の実習室環境はマイクロソフト社のWindowsが搭載されている通常のPCですので,何か巧い手立てはないかと昨年末から探して辿り着いたのが,表題のクラウドベースのスマートフォンアプリ開発環境 “Monaca” (外部リンク) です。これは,Webサイトにログインするとエディタやビューアが用意されていて,HTML+CSS+JavaScriptで記述するとAndroid向け,iOS向け,Windows8向けの実行形式ファイルを作成出来るビルド機能を備えたクラウドサービスです。このサービスは,最も基本的な利用の仕方であれば無料で提供されています。

 iOS向けのビルドを実施するためには,”iOS Developer Program”という有料のプログラムに登録する必要がありますが,Monacaではビルドを行わず,クラウド上のHTML+CSS+JavaScriptのソースを解釈実行して出来栄えを確認するためのアプリ(デバッガ)が,Android,iOS,Windows8のそれぞれのOS毎に用意されていて,無料でダウンロード可能です。

 本日の3年生のゼミでは,MonacaデバッガをiPhoneにインストールしてクラウドにログインし,同期を図ってアプリを動作させるところまで進みましたので,私自身はAndroid搭載スマートフォンにMonacaデバッガをインストールして同等の動作確認をしておきました。

 なお,ゼミ生には常々,他人様から「こういうものがあったら使ってみたい」と言っていただけるものを目指そうと話しています。初めは自分達の好きなものを作り,腕を磨いたら,世の中に役立つものを産み出してもらいたいと思います。