学部長の吉田優治です。
今日から2011年度の春学期授業開始です。私も新2年生と新3年生のゼミをスタートさせます。私は、ゼミを「学問から学ぶ」の中心的な場であると考えているので、吉田ゼミではサービスについての基本的な文献をゼミ生と読み込み、議論して、サービス創造についての体系的な理解を得たいと考えています。
2001年9月11日に米国で発生した同時多発テロは、世界中の社会、経済、政治などの状況を一変させるほどのものでした。その年の3月まで1年間にわたり東海岸ボストンに家族で滞在していた私たちは、車で3時間のNYマンハッタンを何度も訪れた経験があったために大きな衝撃を受けました。さらに事件1ヶ月前の8月上旬にワシントンDCで開催された米国経営学会の年次大会に出席し、車で何度も米国国防総省(ペンタゴン)横の高速道路を行き来していた私は、国防総省に航空機が突っ込んだ映像をTVで見て言葉を失いました。しかし、問題は私の家族や個人の感傷的問題ではなく、9・11以降の世界の社会、経済、政治などの状況が事件以前と大きく異なり、世界中が新しい秩序や状況を模索し続けなくてはならなくなったことです。9・11から10年以上の月日が経過しましたが、今も混乱が世界各地で続いているように思います。
今回私たちが経験した3・11の東日本大震災は、3・11以降の日本や世界の社会、経済、政治の状況を大きく変えてしまいました。復興にはかなりの時間とエネルギーが必要になるでしょう。こうした状況においてこそ、「心地よさ、安全・安心、快適さ、利便さ」などを提供するサービスの創造が重要な意味を持つようになるのです。3・11以降に求められるサービス創造は、それ以前のものとは異なるでしょう。私たちはこうした変化を捉え、新たなサービス創造について模索しなければなりません。
サービス創造学部は、地道に、そして真摯な態度で、サービス創造の研究と教育を通じて、3・11以降の新たな状況づくりに貢献することを誓います。