アビリティーズの綱領


学部長の吉田優治です。

NPO法人日本アビリティーズ協会の伊東弘泰会長は、1歳の時、小児マヒにかかり右脚が不自由になられました。伊東会長は、すべての障害者に普通の生活や仕事の機会が与えられるべきだと考え、1966年に同協会を設立し、「アビリティーズ運動」を推進してこられました。以下の「アビリティーズの綱領」は、同協会の理念と哲学を示したものです。

私は、この綱領を読んで、人間の尊厳について考えさせられ、心を大きく動かされました。同時に、この綱領がサービスやホスピタリティを考える上での基本になると考えました。そこで1年次の必修科目「サービス創造入門(仕事刺激クラス)」の第1回講義(4月8日)に伊東会長をお招きし、「アビリティーズの綱領」についてお話いただくことしました。

サービス創造学部にとっての記念すべき講義になると思います。

同協会設立後に伊藤会長が起業した福祉機器製造の「㈱アビリティケアネット」は、新学部の公式サポーター企業です。島田学長と伊東会長は、川崎市において行政と協力し、福祉に関わるKIS「かわさき基準」の運動を推進しています。

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 アビリティーズの綱領

わたしは平凡な人間でありたくない。
非凡な人間としてできれば、“保障”よりも“チャンス”を選ぶこと…
これこそわたしの願いである。
わたしは、国家に養われ、卑屈で、怠惰な人生を送ることに満足できない。
わたしは、夢をえがき、計算された冒険の道を求め、建設しつづける。
―たとえ、それが成功しようとも、失敗しようとも。

わたしは、すばらしい人生の刺激を、いくばくかの施し物のために

放棄することなどしない。
わたしは保障された生き方よりも、つねに挑戦する人生を選ぶ。
それはユートピアのような日々ではなく、スリルに満ちた世界である。
わたしは、決して、恩恵のために自由を、慈善のために尊厳を

捨てることはしない。
いかなる権力者の前でも畏怖しないし、また、いかなる恐怖に対

しても恐れることはない。
姿勢を正し、誇らかに、なにごとも恐れず、自らの意志で決断し、

行動する。
自分で創造していくことを大切に考え、世間に向かってこう宣言したい。

ーーーこれがわたしの成し遂げたことだーーーと。

 

われら数百万の障害者のために、あなたとわたしのために、

この要綱は名誉ある日本人としての道を示すものである。

(1966年4月17日)