サービス創造学部で開講されているホームサポート業界セミナーでは、2011年11月30日(水)、13:10~16:20の2コマを使って高齢者・障害者体験実習を実施しました。この講座は、アビリティーズ協会・アビリティーズケアネット株式会社の皆さまのご協力を得て、「サービスと福祉の研究」をテーマに行われたものです。約100名の講座受講者は3グループに分かれ、車いす、アイマスク、高齢者疑似体験スーツのそれぞれを身につけて、学内を回遊する、字を書く、買い物をする、トイレに入る、階段や坂道を移動するといった日常生活で当たり前にとられる行動をしてみました。「アイマスクをすると怖くて足が出ない」「車いすの操作には腕の力が必要」「ちょっとした溝でタイヤがとられる」「高齢者になり白内障になると財布のお金を探すのにも一苦労」といった感想が口々にこぼれ、高齢者や障害者のみなさんのご苦労の一端を、身をもって知ることができました。また介助する際の声のかけ方、誘導の方法などについても学習しました。12月7日(水)には実習の振り返りを、14日(水)にはアビリティーズケア協会 副会長 萩原様、アビリティーズケアネット株式会社 取締役 松尾様に再びお出ましいただき、まとめの講義をしていただきます。
サービス創造学部の学生は1年次より、サービスの企画・実践において、相手の立場で考え、相手の求めるものを提供することの重要性を、さまざまな講座を通じて学んできましたが、若く元気で体力もある学生が高齢者の方々のご苦労に思いを巡らせることは難しいことです。ましてや、障害をお持ちの方の不自由さを理解することはさらに難しいことです。今回の高齢者・障害者体験実習を通して、理屈ではなく、体や心で1つ1つの行動の大変さを理解することができました。この体験が相手の立場に思いを巡らす想像力を養うきっかけとなることに期待しています。
以下で学生レポートの抜粋を紹介します。 (専任講師 安藤)
3年 木村 仁さん
視覚障害の体験では、パートナーがアイマスクをして、自分自身がパートナーの目となって先導した。パートナーも私も大学に通って3年目なので、学内に何があるのかを知っている。一時的に目を塞がれても私がしっかり先導すれば問題ないと思っていたが、パートナーは出だしから全くと言っていいほど進めず、階段で上り降りするときには、情報を与えても前が見えない恐怖からか、一段ずつではなく一歩一歩進んでいた。その後に私も体験させてもらったが、アイマスクをして視覚を奪われた瞬間に世界が変わった。余裕だと思っていたが、何がどこにあるのかを把握していても、距離感がわからなくなり、恐怖心に襲われた。パートナーから指示が出ても、自分自身が指示された方に向けているかもわからなくなり、階段の場所でパートナーがゆっくり上り下りしていた気持ちがわかった。情報を与えるだけでは、目が見えない人にとって十分ではないのだと感じた。
2年 阿久津 舞さん
私は18才までずっと祖父母と一緒に暮らしていました。祖父は90才、祖母は87才。上京するまで一緒に暮らしていたので、高齢者のことは知っているつもりでいました。しかし今回の疑似体験をしてみて、驚きと発見でいっぱいでした。「高齢者はここまで体を重く感じていたのか」「白内障ではここまで見えにくかったのか」など、初めて知ることがたくさんありました。次回、帰省した際は、自分が体験したことを活かし、手を取ってあげたいと思いました。
2年 高梨 愛子さん
まず車いす体験をした。最初に実感したのが、想像以上に腕の力が必要であることだ。終わった後、しばらく筋肉痛になるくらいであった。操作については割と簡単にできるのだとも思った。右に行ったり左に行ったり、方向転換の操作をすぐに覚えることができた。しかし急に車が来たときなど急ぐ時には思うように操作できなかった。車が入ってくる道を実習のときに通ったが、車が来たらすぐに車いすを降りて道の端に避けた。しかしこれは体験だからできることであって、実際の場面では通用しない。なので、今後、自分が車に乗るとき、また自転車であっても、車椅子を使用している人の近くを通る時、意識して減速して通り過ぎようと思った。なぜなら、車いすに乗って進んでいると、歩いている人以上に車や自転車のスピードを感じ、とっさに逃げることができないのでとても怖いと感じたからである。また、ちょっとした段差、窪みなどの障害でも車いすに乗っているとけっこうな衝撃が体に来た。緩やかに見えるスロ-プも、そこを降りるのはとても怖かった。
以上が学生達の声でした。
当日は千葉商科大学島田学長も参加し、学生と共に車椅子や視覚障害の体験を致しました。
疑似体験終了後は島田学長から学生達へ、熱いメッセージも頂きました。
当日の様子は島田学長のブログにも掲載されています。http://www3.cuc.ac.jp/~haruo/blog/index.html
これを良い機会に学生達の意識も高まったことでしょう。この経験を忘れずに、ぜひ今後に活かして下さい!