「湯浅 学」

学部長の吉田優治です。

先週の金曜日夕刻、首都高速を横浜に向かって走りながらFM・NHKから流れる音楽を聴いていると、曲の合間に音楽評論家の湯浅学が「ボブディランの曲は演歌だ」というような話をしていた。ラジオを通して彼の声を聞くのは初めてだった。いつもと違う、仕事用のしゃっきりとした話し方、豊富な音楽の知識、湯浅学はやっぱりプロの音楽評論家だったんだと再認識した。先週、大学生の長男が「仙台在住の友人がツイッターで湯浅学が仙台に来るのでワクワクしているとつぶやいていた」と教えてくれた。最近は、各地でTalk Showもしているらしい。「結構、凄いんじゃん」と思った。

湯浅学とは、神奈川県立鶴見高校の同期生。高校時代は、長髪をたなびかせ、独特の雰囲気を漂わせていた。学部開設以来、秋学期の金曜日5時限目に「音楽」の講義をしてもらっている。70年代のモータウン音楽から、ロック、ジャズ、J-pop、K-pop、民族音楽と幅広い。学生に音楽がサービス創造につながる楽しい、ワクワクするものだということを教えてほしいとお願いしている。昨年までは、受講生が数名のこともあったが、なぜか評判を呼んで今期の受講生数は40名近く。湯浅学は、「受講生が少なくたって、多くたって関係ねぃぞ」という。彼らしい。

彼は、音楽評論ばかりでなく、湯浅湾という一部のファンに猛烈に支持されている凄いロックバンドのボーカル兼リーダーでもあるらしい。同じく高校同期で湯浅と同じ曜日時限に「美術」を教えてもらっているデザイナーの西尾淳が「湯浅のバンドやばいよ」と言い、湯浅も「吉田~、来るなよ」というので、怖いもの見たさの私だが、不思議なことにこれまで一度も彼のバンドを聞いたことがない。

湯浅学は、作家でもある。『音楽を迎えに行く(2012)』、『音楽が降りてくる(2011)』、『ドントバスミーバイ(2011)』、『パリの空の下、人は流れる(2000)』、『あなのかなたに(2009)』、『モータウン・ハンドブック(2004)』、『音山(1999)』、『音海(1997)』、『人情山脈の逆襲(1996)』などの著作がある。立派な作家だ。 

こんな湯浅学に音楽を教えてもらう学生たちは、結構贅沢な学びをしているんだと思う。