西村晃です
法務大臣の諮問機関・法制審議会の民法成年年齢部会がこのほど20歳と定められてきた民法上の成年年齢を18歳に引き下げることを適当とする最終報告書をまとめました。これは選挙権年齢も18歳に引き下げられることが前提にあります。
そもそもこの検討が始まったのは08年に憲法改正手続きを定めた国民投票法が投票年齢を18歳以上と定めたことによります。
アメリカや中国、ヨーロッパの国々も選挙権年齢は18歳が大勢です。
「私たちは30歳でもいいと思うし、せめて大学を卒業する22歳にしてほしいと思います。18歳なんてとんでもありません」
先月私のクラスでディベイトの練習を行うにあたり、私がテーマに選んだのが「18歳に選挙権を引き下げるべきか」でした。そのときの討論報告の発表がこれでした。
まさに彼等はいま18歳。早くタバコや酒を嗜みたいという人も含め大半が「18歳を大人に認めよ」という意見になるだろうと予想し、このテーマを設定しました。
私の予想は裏切られました。
なんとクラス全員が「18歳はこどもだ」と主張したのです。(正確に言うと違う意見はただひとり20歳を越えた中国からの留学生でした)
従って授業の遂行上、意に反して「18歳は大人」派に何人かに回ってもらいディベイトをしましたが、結局盛り上がらず、その後の成果発表では前述のような主張が大勢でした。
私は中学を卒業した15歳で先輩たちの学生運動に惹かれてアジ演説を聴きに行ったし、高校生の時政党のビラ配りに行き、大学に入るや否や弁論部に入って選挙応援をしたものでした。早く大人と認められたいと切実に思っていただけに、18歳の彼らが全員「自分たちはこども」と躊躇なく手を挙げる様子に言葉を失いました。
他の国では「18歳はおとな」が当然なのに、このギャップは何なのか?
法制審議会の結論がこの現実とあまりに違うことを黙認していていいのか。
その年齢のこどもたち(おとなたち?)を預かる教員として考え込んでしまいます。