サービス創造学部教授の西尾です。
2月9日夕方、「浅本充 フードサービス・スタートアップセミナー」がThe University DINING で開催されました。これは今春完成予定のUniversity STORE を舞台にしたアイスクリームショップの事業開発プロジェクト Ice Cream Project に参加する学生に対して、フードサービスで起業することについての基礎的な知識を学んでもらおうと計画されたものです。自由が丘ベイクショップ(東京自由が丘)をはじめ、多くの人気飲食店のプロデュース・コンサルティング経験をもとに、浅本充さん(株式会社ユニテ代表取締役社長)が、学生たちに語り掛けるように講義してくださいました。
アイスクリームショップに限らず、そもそも飲食店を起業することに向いている人向いていない人がいるということが最初に提示されました。計画的にお金を貯めたり使ったりできない人、物事をネガティブに考え不安に支配されるタイプの人は無理しない方が良いとの話に、うつむき苦笑する学生多数。
商圏調査・物件選定・業態決定・店舗設計・各種申請・施工など店舗オープンに向けての流れと、その都度都度で起きがちな問題点・注意点など、実践的な内容に学生たちも集中が途切れません。
浅本さんが最も力説されたことは、世の中に新たな価値を提供しようと思うなら、お客様となる人々に対しても、一緒に働くことになるスタッフに対しても、「この店はこういう店だ」というしっかりとしたコンセプトが必要だということです。そしてそれは「世界一のアイスクリームショップになる」というような達成目標ではなく、「なぜこの店をやるのか」という行動目的となるものでなくてはダメだということ。そして、そのコンセプトを具現化する店名とロゴタイプの必要性を提言されました。
続いてメニュー開発です。家庭で作れるようなものは作ってはダメで、ここでしか食べられないキラーメニューを持つことが必要だとの話に、学生たちもどんなアイスクリームメニューにしようかと夢が膨らんだことでしょう。そんな中で最も重要な話が、原価率についてでした。売り上げの30%以内に抑えることを実現し続けないと、ほぼその店舗は失敗するという話。人件費30%、固定費30%を合わせると利益は10%出れば良いのが飲食店ビジネスの基本形で、1万円の利益を出すためには10万円売り上げる必要があるということです。このセミナーで浅本さんが話してくれたことは、事業計画書を作成する上でどれも欠かせない内容で、学生たちが将来本当に起業しようとする際には、銀行の融資を受ける上で必要になってくることです。資金調達という大きな壁を乗り越える必要が、リアルビジネスにはあるわけです。
大学から無料で提供される空間、店舗設計施工費も大学予算となると、おのずと「飲食店を経営する」というマインドが曖昧になるはずです。今後このプロジェクトが学内にアイスクリームショップを開き、オリジナル商品を開発し販売してゆく中で、この日のセミナーで覚えたことはとても重要な内容でした。このセミナーは3月中旬に続編として、「起業後どうしたら継続できるのか」について話していただくこととなっています。今から楽しみです。