投稿者「西村 晃」のアーカイブ

3年絶好調も難しい!


新任の西村晃です。
年末私と長い付き合いのある企業が大手企業に買収されました。実は本業は毎年二桁成長の超優良企業。ニュース速報で知った時、私はエッなんで、と飛び上がりました。
調べてみると金融機関に誘われてデリバティブ商品に投資していたようです。数年前は利益も出ていたのでついつい投資金額を増やしたところで、今回の金融危機に見舞われたようです。
従業員たちは自分たちが一生懸命やっている本業はうまくいっていると感じていましたから、突然会社が買収されたと聞かされて相当ショックだったようです。

景気が悪く本来業務でさえ大変な企業が続出しているところに、調子がよくても財テク失敗のような企業まででるのですから、企業経営にはどんな落とし穴があるか見当もつきません。
過去30年あまり企業取材をしてきて言えることは、10年絶好調を続けられる企業は皆無です。それどころか3年二桁成長を維持することさえ並大抵ではありません。
新学部が掲げる実学の精神は、現場にある生きた教材に目を向けなければ真に社会で役立つ人材はつくれないという事実から出ています。

経済激変のいまこそ新学部の果たす役割も大きいと思います。

「 わずか15か月前」


新任の西村晃です。

 

 

200710月。私は山手線に乗ってケータイでニュースチェックをしていました。「バイオをやらせてくれないなら行かないって言ってやったんだ」品川から乗ってきた若い二人の男の会話が耳に入ってきました。バイオと聞いて一瞬私はバイオテクノロジーのことかと思いました。私が目を上げると、会話の主は一見してリクルートスタイルと分かる大学生でした。しばらく話を聞いていて、バイオとはSONYのパソコンのことだと分かってきました。会話の内容から推測するに、SONYに会社訪問に行って是非来て欲しいと言われたけれど、パソコンの仕事に就かせると会社が確約してくれなければ行ってやらないと、言い放ってきたようです。

 

これは今から15か月前の話です。ずいぶん強気だったんですね。当時さえ、なにも社会を知らない学生が身の程知らずで、いい気なもんだと、私はあまりいい気はしませんでした。いま就職を巡る状況は激変しています。重要なことは、あの頃の「就職売り手市場」の時の学生がとびきり優秀であったわけでもなく、また氷河期と言われる時期なかなか就職が決まらない学生が優秀でないということでもないということです。たまたま巡り会わせで就職活動の時期の景気が、人生の旅立ちの明暗を分けてしまうのはため息がでるばかりです。

 

就職狭き門で、悩む学生の皆さんに敢えて言っておきたいことがあります。売り手市場の時入った人は、概して企業の中では評判が悪いものです。なまじ自分には実力があると勘違いをしているから、謙虚に社会勉強をしなければならない新人時代に真面目に取り組もうとしないのです。あるいは社会人になってすぐ、こんなはずではなかった、もっといい会社に俺は入れたはずだ、などと思い込み、安直に転職しようとして失敗したりします。

 

人生は長い。就職活動の結果で一喜一憂することなかれ。それよりも、まだ浅い人生経験しかない学生ゆえに、現在輝いて見える会社が将来も輝いているに違いないと錯覚することのほうが心配です。企業の寿命は30年と一般に言われますが、サラリーマン人生は40年近くあることを肝に銘じておくべきです。

 

社会のなかにおける企業の存在を客観的に把握する能力を身につけるのも、新しい学部、サービス創造学部で学ぶ意味だと思います。

がんばりましょう。