世界的経営学者ミンツバーグから学ぶ


学部長の吉田優治です。

米国東海岸にあるボストンではアメリカ経営学会(The Academy of Management)の年次大会が8月3日から8日まで開催中です。26の経営学関連部会が緩やかに連合するアメリカ経営学会の年次大会には、世界各国から毎年約6千名の経営学者が集まります。会場で日本からの参加者に出合うことはほとんどありません。世界の中での我が国経営学者たちの孤立的なポジショニングを危惧します。

ちょうどいま頃、ボストン・マリオット・コプリー・プラザの一室では、私が日本担当理事を務める経営教育部会((Devision of  Management Education & Development))の昼食会兼理事会(Lunchon & Executive Committee Meeting)が開催されています。残念ながら、私は週末に開催されたオープンキャンパスなどの仕事のために今年は出席できませんでした。

今年の部会昼食会には世界的経営学者のヘンリー・ミンツバーグ(Henry Mintzberg、カナダ・マッギル大学教授)が特別参加。私にとって1995年に初めて参加したアメリカ経営学会で聞いた彼の講演は鮮烈でした。毎年の年次大会では、複数の部会で講演するミンツベーグを追いかけました。2004年出版の『MBAが会社を滅ぼす(Managers not MBAs)』は、「マネジメントは本では学べない」、「実践されない知識は不毛である」、「経験の少ない学生に分析手法を処方箋として与えることは弊害だ」など、データに基づくミンツバーグの主張は明快で強烈でした。

6年前にはある学会の常任理事・国際交流委員長としてミンツバーグの大会招聘を提案しましたが、招聘のために提案したビジネスクラス利用を強硬に反対する家電大企業出身の理事がいて、世界を知らない我が国大学教員の度量の狭さに驚かされました。

実は、学部カリキュラム設計の際に提案した、「学問から学ぶ」、「企業から学ぶ」、「活動から学ぶ」という3つの学びは、ミンツバーグ独特のマネジメント論、創発的戦略論、組織学習論が大きな手掛かりとなっています。昨日から読み始めた、ミンツバーグの義理の息子が書いた『ミンツバーグ教授のマネジャーの学校』もとても面白い。

サービス創造学部の研究と教育は、世界の研究者たちのアイディアを織り込み、そして公式サポーター企業の実践知を織り込み、さらに充実したものに進化させていきます。ご期待ください。世界のサービス創造学部に成長させます。