中国プロジェクト担当の神保雅人です。
学生的上海に関する私からの報告の最終回です。後は学生からの投稿を期待しています。
10月13日の朝は,先ず学生寮の見学に行きました。(写真23) 上海立信会計学院だけで1万人の学生が寮生活をしているそうで,学食だけでは昼食にありつけそうもありませんでしたが,寮のあるエリアにも様々な売店が林立していて,言わば,”分散処理”となっていることが分かりました。寮の建物は男子用と女子用は別棟となっていて,女子用の建物には厳しい監視員が入り口を見張っているそうです。
この日は,通常,女子禁制となっている男子寮の建物に向かい,コンサートの司会を務めた学生の部屋を見せてもらいました。階段の手前の壁面には,牛乳配達用のボックスが並んでいて,「日本でも昔は牛乳を家庭に配達していたのだよ」と日中の学生達に説明しました。部屋は4人部屋でしたが,ベッドが大半のスペースを占めていて,部屋の中程のベッドに挟まれた位置に小さめの机が2脚ずつ,左右の壁に向けて置かれていました。(写真24)
次に,シンポジウムの際に中国側の通訳を務めた孫先生の日本語の授業を見学に行きました。(写真25) 実践重視の中国独自の日本語文法が組み立てられていることはとても新鮮でした。本学の教職員は立信側の先生方と今後の交流についてミーティングを行うため,中座し,ツアー参加者は授業見学の後,太極拳の体験学習へと向かいました。
10月13日の昼下がりは,教員用の食堂で,餃子パーティーとそれに続くビンゴパーティーを行いました。餃子パーティーでは,立信側の教員や学生,食堂の職員がそれぞれの流儀で餃子の包み方を指導し,日中の学生,教職員,ツアー参加者が一緒に餃子作りに励みました。(写真26)
ビンゴ大会では,中国側でルールを知っている人は皆無でしたが,どこの国の人達でもでもくじ引きは大好きで,ビンゴには更にゲーム性も加味されているため,番号が読み上げられる度に皆が一喜一憂して,大変盛り上がり,今後,ビンゴが中国にも浸透していくのではないかと思えました。(写真27)
10月13日の夕刻は,大学城のある上海市松江区から上海の中心地に移動するため,日中の学生同士は名残惜しそうでしたが,お互いのメールアドレスを交換して後,本学学生達も上海律新会計学院に別れを告げ,バスに乗り込みました。(写真28) なお,この晩は,オーストラリア系のホテル『美麗園龍都大酒店(Rendevous Merry Hotel)』に宿泊しました。
10月14日は,いよいよ最終日となり,朝のチェックアウトの後,先ずは建設中の万博会場をバスの車窓から見学しました。(写真29-32) 因みに,写真32の赤い建物が中国館です。ここでは,河岸にパビリオンを建設している風景と,付近の古い民家を取り壊している風景とが混在していましたが,来年の今頃はすっかり綺麗になっていることでしょう。既に中心地では道路の中央分離帯や歩道によく手入れされた植え込みが続き,2000年,2001年に上海を訪れた頃とは別世界のようです。
次に,浦東新区の保税区へと向かいました。(写真33) この地域では,先ず,株式会社トルネックスという煙草の煙を吸い取る機械を製造している会社の工場を見学しましたが,時節柄,本業は中断して,マスクの袋詰めの請負仕事の作業中でした。続いて,株式会社住友倉庫の現地法人の方に,コンテナヤードが見渡せる建物の屋上に案内してもらいました。(写真34) 長江の河口のデルタ地帯に位置する,『外高橋』コンテナヤード全体で,2000万本のコンテナがアクティブに扱われているそうですが,浚渫作業が大変なので,今後は海上に作った別のコンテナヤードに移っていくことになるそうです。
この後,空港に向かい,ツアー参加者の一行を乗せたJL610便は16時05分に離陸して,無事,帰国の途に就きました。参加者の皆様には充実した4日間を満喫していただけたようです。
今回の国際交流を通じて,日本の教育の在り方について考えさせられました。中国の学生は,米国のように,小学校の頃からの教育を通じて,自分の意見を皆の前で堂々と表明することに慣れています。日本では,詰め込みをやめて自分で考える能力を涵養するという掛け声の下に,ゆとり教育が始まりましたが,なかなか現実は理想通りにはいかなかったようです。これからの大学生を国際的に通用する人材に育て上げるには,外からの刺激を受ける環境を整え,彼らの活躍の場を提供していくしかないように思えます。
なお,このツアーを通じて,中国の人々の道徳的な規範として,お年寄りを大事にするという姿勢に接しましたが,このことはやはり見習うべき点ではないかと改めて感じました。中国では,周王朝の成立以来,『礼』とは先祖を祀ることに始まり,数千年来,王の命令よりも親の病気見舞いが優先するというお国柄でしたが,現代の中国でも,長年,会社や国に尽くしてきたお年寄りには敬意を払い,優しく接するという伝統は息づいているようです。
最後に,この場を借りて,学生的上海ツアーの一行を温かくもてなしてくださった,上海立信会計学院の教職員及び学生の皆様に御礼申し上げます。
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